筋収縮の仕組みを覚える時に、ATPとカルシウムイオンの勘違いに注意して。

こんにちは。

川﨑文也です。

「トレーナーの基礎力が向上する」1日3分の流し読み問題集no.13

では、今日も問題です。

問題

次のなかで、筋収縮のために必要な物質はどれでしょう?

A リチウムイオン

B 銀イオン

C マイナスイオン

D カルシウムイオン

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正解: D カルシウムイオン

筋原線維は、ミオシンとアクチンと呼ばれる線維が重なり合っています。

この、アクチンとミオシンが重なり合う部分が増えて、互いにくっつくような状態になると筋肉が収縮しているということになります。

アクチンとミオシンはマジックテープのように、お互いにくっつく構造になっています。

しかし、ずっと、くっついている(筋収縮)状態では、無駄にエネルギーを使ってしまい、疲れてしまします。 なので、筋収縮が必要のない(リラックスしている)時は、アクチンとミオシンがくっつかないように、アクチン側にトロポミオシンという、くっつき防止テープが巻きついています。

つまり、筋収縮とは。
筋収縮が必要な時には、

トロポミオシンがアクチンから剥がれて

アクチンとミオシンがくっつく。(筋に力が入る)

筋収縮が必要ない時には、

トロポミオシンがアクチンに巻き付いて

アクチンとミオシンがくっつくのを防ぐ。(筋の力が抜ける)

という現象が繰り返しおこなわれています。

その筋収縮のタイミングをコントロールしているのが、カルシウムイオンなのです。

カルシウムイオンが、トロポミオシンの先端にあるトロポニンという部分に働きかけると、くっつき防止テープであるトロポミオシンがアクチンから剥がれる仕組みになっています。トロポミオシンがアクチンから剥がれることでアクチンとミオシンがくっつくことが可能になり、筋収縮が起こります。

そして、筋収縮が必要なくなると、カルシウムイオンは回収ポンプに吸われて、トロポニンから離れていきます。カルシウムイオンが無くなると、再びくっつき防止テープであるトロポミオシンがアクチンに巻き付くので、筋肉は弛緩します。

筋肉が収縮する流れをまとめると

筋線維が収縮しようと決意する。

その意思をくみ取り、筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。

カルシウムイオンが、トロポミオシンのトロポニンと結合して、くっつき防止テープであるトロポミオシンがアクチンから剥がれる。これで準備O.K。

ミオシンとアクチンが結合して、筋が収縮する。

収縮が必要なくなると、カルシウムイオンがカルシウムポンプによって筋小胞体に再吸収される。

アクチンにトロポミオシンが巻き付きなおすことで、ミオシンとアクチンが離れる。これで筋線維が弛緩する。

勘違いして覚えてしまわないように注意したい点

大まかな筋収縮のイメージはつかめましたか?

私たちのように生理学を勉強していくと、筋収縮にはATPが必要だという知識が入ってきます。それは正解ですが、ATPが筋収縮を起している、と間違って覚えないように注意してください。

筋線維内のATPは、収縮時も弛緩時も常に一定量存在しています。なのでATPの量によって筋が収縮弛緩をしているというわけではありません。筋収縮と弛緩のオン、オフの切り替えはカルシウムイオンの役割になります。

ATPはアクチンとミオシンが結合した後に、その結合(筋収縮)を維持する為に使われているということです。

それでは、今日はここまで!

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「トレーナーの基礎力が向上する」1日3分の流し読み問題集は、私が学生時代に後輩たちに向けて配信していたメールマガジンです。内容はNSCAの教本をもとに作成しています。分かりにくい生理学や解剖を少しでもイメージしやすいようにまとめていきます。何かお役に立てれば幸いです。
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