無酸素性から解糖系へ。エネルギー供給のバトンタッチは「AMP」がポイント。

無酸素性から解糖系へ。エネルギー供給のバトンタッチは「AMP」がポイント。

こんにちは。

川﨑文也です。

 

目次

「トレーナーの基礎力が向上する」1日3分の流し読み問題集no.16

 

では、今日も問題です。

 

問題

 

リン酸が三つだと、ATP。

リン酸が二つだと、ADP

では、リン酸が一つの場合は何と言うでしょう?

 

 

A 「ATM」

B 「ASE」

C 「AMP」

D 「AED」

正解: C 「AMP」

 

以前、無酸素でATPを再合成するにはクレアチンリン酸が使われている話を取り上げました。

こちら→運動時のエネルギー供給機構を学ぶなら、 まずはクレアチンリン酸の役割から知ろう

 

しかし、ATPもクレアチンリン酸も少量しかなく、エネルギーをつくり続けることが出来ません。

すぐに他のエネルギー供給システムの手助けが必要になってきます。

 

そこで、次に活躍するのは、解糖系のシステムになります。

[aside type=”boader”]エネルギーであるATPが欲しい。

クレアチンリン酸を使ってATPを合成する。

それだけでは、ATPが足りなくなった。合成が間に合わない。

よし!解糖系のシステムを導入しよう!

[/aside]

 

では、何をきっかけに解糖系のシステムが働きだすのか?

それが、今日のポイントになります。

 

さっそく答えを言ってしまうと

解糖系が働きだすポイントは、

「AMPが増えたから」です。

*AMP(adenosine monophosphate)アデノシンにリン酸が1つくっついた状態。

*mono=1

 

 

アデノシン三リン酸(ATP)はエネルギーを作りながら、どんどん分解されていきます。

ATP分解後の姿が、AMPです。

 

その分解の過程で、必要になるのが「ミオキナーゼ」です。

ミオキナーゼの役割はATPをすぐに再合成することです。

その過程で、AMPが生まれます。

 

ミオキナーゼは、残り物を組み合わせて、新しいものをつくるのが得意です。

ATPの分解で残った2つのADPを周りから集めてきて、ATPとAMPに再合成しちゃいます。

 

↓ミオキナーゼの手にかかるとこうなります

[aside type=”pink”]2ADP → ATP + AMP[/aside]

 

もう少し詳しく説明します。

ADPが二つあるということは、リン酸(P)が四つあるということです。

 

↓これでアデノシン二リン酸(ADP)が二つある状態。つまり2ADPの状態です。

[aside type=”boader”]『アデノシン+リン酸(P)+リン酸(P)

『アデノシン+リン酸(P)+リン酸(P)』[/aside]

 

リン酸が四つあるなら、一度ごちゃまぜにして

(P)を三つと、一つに分ければいいじゃん!

みたいな感じです。

 

結果、先ほどの再合成が行われるわけです。

↓ミオキナーゼの手にかかるとこうなります

[aside type=”pink”]2ADP(P)(P)(P)(P)  →  ATP (P)(P)(P) +  AMP(P)[/aside]

そして新たに生まれたATPはエネルギーをつくるために再利用されていきます。

 

ミオキナーゼは、まるで冷蔵庫に残った食材でちゃちゃっとごはんを作ってしまう、ベテラン主婦(主夫)のような働きっぷりをみせてくれます!

 

このお手軽料理…

いえいえ、

再合成反応のことを「ミオキナーゼ反応」と呼びます。

 

 

今日のポイント

 

無酸素性の代謝から、解糖系の代謝に切り替わるきっかけは「体内にAMPが増えたから」でした。

なぜ、体内にAMPが増えるのかというと

ミオキナーゼ反応でATPを合成する時に、AMPが残るからです。

 

AMPが体内に増えすぎると、脳はエネルギー不足の危機を感じます。

なので、別のエネルギー供給システムが必要になり、解糖系のシステムが働くようになっています。

 

 

無酸素性システムのおさらいをしましょう!

 

運動により、体内に蓄えられているATPが使われます。

ATPを再合成をする為に無酸素性エネルギー供給システムが初めに働きます。

 

なぜ、無酸素性が最初なのかというと

一番エネルギーをつくるスピードが速いからです。

 

しかし、無酸素でATPを再合成するには、エネルギーを蓄えたリン酸が必要になります。

 

無酸素性のシステムの中には

  • クレアチンリン酸を使ってATPを再合成するパターン

(運動時のエネルギー供給機構を学ぶなら、 まずはクレアチンリン酸の役割から知ろう)←詳しくはこちら

  • ミオギナーゼがATPを再合成するパターン

(今回、紹介した内容です。)

 

2つのパターンがあります。

 

そして、

ミオキナーゼ反応の過程で残ったAMPが体内に増えてくると、解糖系のシステムが働きだすようになります。

 

どうですか?

大まかな流れはつかめてきましたか?

 

 

それでは、今日はここまでです。

 

[aside type=”sky”]『「トレーナーの基礎力が向上する」1日3分の流し読み問題集』は、私が学生時代に後輩たちに向けて配信していたメールマガジンです。内容はNSCAの教本をもとに作成しています。分かりにくい生理学や解剖を少しでもイメージしやすいようにまとめていきます。何かお役に立てれば幸いです。[/aside]

 

 

無酸素性から解糖系へ。エネルギー供給のバトンタッチは「AMP」がポイント。

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